(平成29年4月26日改正)
高度の専門的な能力を持つ人材としてその基準をクリアしていると認められ、下の(イ)~(ロ)のカテゴリーのいずれかにあてはまる活動を日本で行う外国人には、高度専門職(Highly Skilled Professional, HSP)の在留資格が与えられます。高度専門職の在留資格では、いくつかの優遇措置を受けることができます。
(高度専門職イ)高度学術研究活動
日本の公私の機関との契約に基づいて行う研究、研究の指導または教育をする活動。研究業務に併せて事業の経営・管理を行う活動を含みます。
(高度専門職ロ)高度専門・技術活動
日本の公私の機関との契約に基づいて行う自然科学または人文科学の分野に属する知識または技術(技人国ビザでいう「国際業務」は含まない)を要する業務に従事する活動。製品開発業務に携わりながら企画・営業を行う、もしくはそれらの業務に併せて事業の経営・管理を行う活動を含みます。
(高度専門職ハ)高度経営・管理活動
日本の公私の機関において、事業の経営や管理に従事する活動。
高度専門職の在留資格の要件を満たすためには、上の(イ)~(ロ)のいずれかのカテゴリーの活動を日本で行い、該当するカテゴリーの高度専門職ポイント計算表で合計70点以上を獲得することが必要です。
高度専門職イ~ロには1号と2号があります。 高度専門職1号の在留資格で引き続き3年以上日本で活動した後、変更許可申請をすることで高度専門職2号を取得できます。
出入国在留管理局のウェブサイトでも高度専門職についての詳細をご確認いただけます。
>> 高度人材ポイント制による出入国管理上の優遇制度(出入国在留管理局ウェブサイト)
高度専門職2号について
高度専門職2号の許可をうけるためには、高度専門職1号として少なくとも3年間日本で活動していることが必要です。
高度専門職2号の在留期間は無期限で、高度専門職で許可されている高度専門職イ~ロの活動に加えて、「教授、芸術、宗教、報道、法律・会計業務、医療、教育、技術・人文知識・国際業務、介護、興業、技能」の在留資格にあてはまる活動もあわせて行うことが可能となります。高度専門職1号では所属機関と活動内容が記載されている「指定書」が在留カードとあわせて交付されますが、高度専門職2号では所属機関を限定しなくてもよいため「指定書」は交付されません。
高度専門職イ~ロのいずれかを続けて行う場合でかつ高度専門職の優遇措置を受けたい場合は、永住者より高度専門職2号を取得するほうがいいでしょう。高度専門職の優遇措置よりも、もっと自由に活動したい方や「永住者」として日本に滞在したい方は、永住者を申請するほうがいいかと思います。
高度専門職1号で所属機関を変更する時にはご注意下さい。
高度専門職1号は所属機関を限定して許可されているため、転職などで契約機関・所属機関に変更があった場合、従事する活動内容に変更がなくても、在留資格の変更申請をして、再度ポイント計算表のもと高度専門職の該当性を確認して許可を受ける必要があります。ご注意ください。
高度専門職1号イ~ロに対する優遇措置の内容
【1】複合的な在留活動が可能
高度な資質・能力等を活かして研究・実務を行う活動とあわせて、関連する事業において経営活動を行うなど、複数の在留資格にまたがる活動を行うことができます。
【2】在留期間「5年」が与えられます
高度専門職1号では、在留期間「5年」が与えられます。
【3】永住許可要件が緩和されます
高度専門職の在留資格に基づいた活動を3年以上続けている場合や、ポイント計算表で80点以上を保持しながら1年間日本で活動している場合には、永住許可を申請することができます。
>> 永住者(永住許可申請)
【4】申請手続きが優先的に処理されます
高度専門職の外国人による各種申請は、優先的に処理されます。
在留資格認定申請では申請受理から約10日以内、在留資格変更もしくは更新では申請受理から約5日以内に処理されます。ただし、入管の申請の混雑状況や不足書類のあった場合などによって、処理期間が長くかかることがあります。
【5】配偶者は特定の就労活動が認められる
高度専門職の在留資格をもつ外国人の配偶者は、配偶者自身が学歴・職歴を満たさなくても、教育、技術・人文知識・国際業務等の在留資格に該当する活動を行うことができる。ただし、高度人材本人と同居し、かつ、日本人と同等額以上の報酬を受ける場合に限ります。
【6】一定の条件のもとでの親の帯同
次の場合に限り、一定の要件を満たしている場合は、高度専門職である本人またはその配偶者の親の入国・在留が認められます。帯同される親には、特定活動の在留資格が許可されます。
- 高度専門職の外国人またはその配偶者の7歳未満の子(養子を含む)を養育する場合
- 高度専門職の外国人本人もしくはその配偶者が妊娠している期間の介助等を行う場合
要件:
- 高度専門職の外国人の世帯年収が800万円以上であること。
- 高度専門職の外国人と同居すること。
- 高度専門職の外国人またはその配偶者のどちらかの親に限ること。
【7】一定の条件のもとでの家事使用人の帯同
次の1もしくは2にあてはまる場合に一定の要件の下で、外国人の家事使用人を1名のみ帯同することが可能です。帯同される家事使用人には、特定活動の在留資格が許可されます。
- 外国で雇用していた家事使用人を引き続き雇用する場合(入国帯同型)
- 家庭の事情により外国で雇用していた家事使用人以外を雇用する場合(家庭事情型)
1の主な要件:
- 高度専門職の外国人の世帯年収が1,000万円以上であること。
- 家事使用人に対して月額20万円以上の報酬が支払われること。
- 入国までに1年以上、高度専門職の外国人に雇用されていること。
2の主な要件:
- 高度専門職の外国人の世帯年収が1,000万円以上であること。
- 家事使用人に対して月額20万円以上の報酬が支払われること。
- 家庭の事情が存在すること(例:申請時に13歳未満の子または病気などにより日常の家事に従事することができない配偶者がいる)。
許可の基準と要件
在留資格にかかわらず、許可の基準を満たすことが前提です。
>> 許可の基準
高度専門職は、次の(1)~(3)の全てに該当することが必要です。
日本での活動内容
申請人の日本での活動が、高度専門職イ~ロのいずれかのカテゴリーにあてはまること。
あてはまるカテゴリーにおいて、要件を満たしていること
- 申請人の活動内容に該当するカテゴリー(上のイ~ロのいずれか)の高度専門職のポイント計算表で、合計70点以上獲得できること。
>> 高度専門職 ポイント計算表(出入国在留管理局のウェブサイト)
- ポイント加算できる項目について、該当性を書面にて証明することができること。
- ロもしくはハのカテゴリーで申請する場合、日本での活動に支払われる年収が少なくとも300万円あること。
日本国内に契約機関が存在すること
- 日本で行う活動について、日本国内に契約機関が存在し、申請者の受入先となること。高度専門職ハを申請する場合で、自ら会社に出資し経営する場合いは、経営・管理の在留資格の要件に見合った形態の会社・事業所をおくこと。
- 申請人の受入先となる機関の財政が安定しており、適正に事業が行われていること。
- 受入先(申請人が従事する場所)は、業務に従事する場所として日本国内に確認できること(バーチャルオフィスなどでないこと)。
高度専門職の在留資格を申請するには
外国に居住する外国人を日本へ呼び寄せる、もしくは短期滞在の外国人の場合:
>> 在留資格認定証明書交付申請
1. 申請人となる外国人が既に特定の在留資格のもと日本で活動している場合
2. 高度専門職1号から高度専門職2号へ変更する場合
>> 在留資格変更許可申請
基本的な必要書類
申請しようとする高度専門職のカテゴリー(イ~ハのいずれか)の該当性を証明するための書類を提出します。
以下は入管が基本的に求めている書類の一例です。この他に、事案に応じた書類を提出する必要があります。ポイント計算表の別シートに、ポイントを疎明する資料についての説明や例が記載されていますのでご参照ください。
(1)申請者の経歴・学歴を証明する書類:
- 履歴書や経歴書で、申請者の経歴・学歴が確認できる書類
- 学歴を立証する書類(例:学位証・卒業証書のコピー、卒業証明書などで大学などが発行した書類)
- 職歴を立証する書類(例:在籍証明書、Certificate of EmploymentやLetter of Confirmationなどで、在籍していた企業が発行した書類)
- 資格や免許などその他経歴を立証する書類
(2)申請者の日本での活動内容(業務内容)、役職、報酬、従事期間を証明する書類:
- 雇用通知書、雇用契約書、請負契約書など、契約機関・所属機関から発行された書類
(3)申請者の契約機関(受入先)を証明する書類:
- 企業・団体の概要が記載されたパンフレット
- 登記事項証明書
- 直近の決算書
- 新設会社の場合:事業計画書、給与支払事務所の開設届出書、直近3か月分所得税徴収高計算書もしくは納期の特例の承認に関する申請書
(4)ポイント計算表(入管が提供している様式を使用します):
>> 高度専門職 ポイント計算表(出入国在留管理局のウェブサイト)
(5)ポイント計算表のポイントを疎明する書類:
入管が提供しているポイント計算表の別シートに記載されている疎明資料および関連書類
注意事項
- 外国語で記載されている書類は全て日本語翻訳を添付することが必要です。
- 審査期間中に入管から追加書類を求められることがあります。
- 申請人の雇用主が次にあてはまる企業の場合、省略できる書類があります。 1)上場企業、2)法定調書合計表の源泉徴収税額が1,000万円以上、3)前年分の法定調書合計表を提出できる企業
- 日本の官公庁・市区町村で発行される証明書は、発行日から3ヶ月以内のものを提出します。
在留期間
在留期間は、申請した在留資格と申請者の状況に応じて、入管が決定します。
高度専門職1号の在留期間は5年です。
同じ活動内容でその後も日本で滞在する場合には、在留期間更新許可申請をします。在留期間満了日の3ヶ月前から満了日までに手続きをして下さい。
>> 在留期間更新申請
在留期間中、転職などで契約機関・所属機関の変更がある場合
>> 在留資格変更許可申請
在留カードをもつ外国人が旅行などで一時的に日本を出国し、再度入国する場合には再入国許可もしくはみなし再入国許可が必要です。
>> 再入国許可
高度専門職で1年以上滞在している場合、ポイントによっては永住申請ができる場合があります。
>> 永住者(永住許可申請)