脱退一時金とは、国民年金または厚生年金といった日本の年金制度に加入していた外国人が、その年金の被保険者資格を喪失し、日本に住所を持たなくなった日から2年以内に請求して、日本で支払った年金保険料を一定の率に応じて受ける年金の払い戻しのことです。

年金受取に必要な資格期間が10年(120ヶ月)以上ある場合には、日本の老齢年金を受け取ることができます。このため、10年以上日本の年金を支払っていた方は、脱退一時金を受け取ることができません。

また、国によっては、年金加入期間が通算できます。ただし、脱退一時金を受け取ると通算されなくなる可能性があるのでご注意下さい。

ご注意ください!

厚生年金の脱退一時金およびその所得税の還付請求の方法や手続きに関するお問い合わせは受付けておりません。必ず、年金事務所および税務署へ、お問い合わせ下さい。

>> 日本年金機構ウェブサイト:短期在留外国人の脱退一時金
>> 国税庁ウェブサイト:出国直前の住所地の税務署を探す

在留資格・ビザの手続きについてよくわからない方は、以下のページからご覧ください

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支給要件

以下の要件に全てあてはまること。

  1. 日本国籍を持たない
  2. 日本での年金加入期間が6ヶ月以上ある
  3. 日本に住所がない(転出届を提出して、日本に住民登録がない)
  4. 年金(障害手当金を含む)を受ける権利をもったことがない
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受給金額

受給金額の算出方法は、国民年金と厚生年金で異なります。
共通している点では、日本の年金制度に加入した月数に応じて、60ヶ月(5年)を上限として計算されます。ですので、どんなに長く日本の年金制度に加入していたとしても、脱退一時金で払い戻しを受けられるのは60ヶ月分だけ、ということになります。(※注)

受給金額は申請した銀行口座へ振り込まれますが、送金できる通貨が決められています。

国によっては年金加入期間が通算できる

日本と年金通算の協定を締結している相手国の年金加入期間があれば、一定の要件のもと、年金期間を通算することができます。

協定国(2019年7月現在):ドイツ、アメリカ、ベルギー、フランス、カナダ、オーストラリア、オランダ、チェコ、スペイン、アイルランド、ブラジル、スイス、ハンガリー、インド、ルクセンブルク、フィリピン、スロバキア

年金を通算できる国の方はご注意ください

61ヶ月以上日本の年金制度に加入していた方が脱退一時金を請求した場合、脱退一時金の受給金額は上限の60ヶ月で計算されますが、脱退一時金請求前の全ての期間が年金加入期間でなくなります。年金を通算できる国へ帰国される方は、ご注意ください。

(※注)令和3年(2021)4月から支給対象期間の上限が3年から5年に見直されました。このため、加入期間が令和3年(2021年)3月以前のみの場合は、3年を上限として計算されます。

厚生年金の場合、所得税が源泉徴収される

厚生年金の場合、受給金額から所得税(脱退一時金総額の20%)が源泉徴収された額が支払われます。
※国民年金の場合は所得税はかかりません。

源泉徴収税は還付を受けることができる

源泉徴収された所得税は、脱退一時金を受け取った後、以前の本人の住所地の税務署へ申告することによって、還付を受けることができます。
還付を受ける場合は、日本出国前もしくは還付申告書と一緒に、税務署に「納税管理人の届出書」を提出し、納税管理人を指定します。 還付申告できるのは、脱退一時金を受け取った年の翌年1月1日から5年間です。

詳細は脱退一時金にかかる所得税の還付請求のページにて、ご確認下さい。

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脱退一時金の申請に必要な書類

脱退一時金請求書と以下の添付書類を日本年金機構へ申請します(郵送可)。
主な書類は以下のとおりですが、詳細は年金事務所にてお尋ねください。

  1. パスポートのコピー
    最後に日本を出国した年月日、氏名、生年月日、国籍、署名、在留資格が確認できるページをコピーする。
  2. 振込口座が確認できる書類
    申請書の「銀行の口座証明印」の欄へ銀行の証明を受ける
    もしくは、
    請求者本人の口座名義、銀行名、支店名、支店の所在地、口座番号などを確認できる書類(銀行が発行した証明書等)
  3. 年金手帳(原本)
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